ノートルダム清心学園の理事長で多くの著作を著しています。
2012年に発売された「置かれた場所で咲きなさい」は、
200万部を超えるベストセラーになりました。
残念ながら、渡辺さんは2016年12月30日にお亡くなりになりました。
下記の渡辺さんのお話は、
その本の中から一部をピックアップしたものです。
初めての土地、
思いがけない役職、
未経験の事柄の連続。
それは私が当初考えていた修道生活とは、
あまりにもかけはなれていて、
私はいつの間にか“くれない族”になっていました。
「あいさつしてくれない」
こんなに苦労しているのに
「ねぎらってくれない」
「わかってくれない」
自信を喪失し、
修道院を出ようかとまで思いつめた私に、
一人の宣教師が一つの短い英語の詩を
渡してくれました。
その詩の冒頭の一行、それが
「置かれたところで咲きなさい」という言葉だったのです。
岡山という土地に置かれ、
学長という風当たりの強い立場に置かれ、
四苦八苦している私を見るに見かねて、
くださったのでしょう。
私は変わりました。
そうだ。
置かれた場に不平不満を持ち、
他人の出方で幸せになったり不幸せになったりしては、
私は環境の奴隷でしかない。
人間と生まれたからには、どんなところに置かれても、
そこで環境の主人となり自分の花を咲かせよう、
と決心することができました。
それは「私が変わる」ことによってのみ可能でした。
いただいた詩は、
「置かれたところで咲きなさい」の後に続けて、
こう書かれていました>>>
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「咲くということは、
仕方ないと諦めることではありません。
それは自分が笑顔で幸せに生き、
周囲の人々も幸せにすることによって、
神が、あなたをここにお植えになったのは間違いでなかったと、
証明することなのです」
私は、かくて
“くれない族”の自分と訣別(けつべつ)しました。
私から先に学生にあいさつし、ほほえみかけ、
お礼をいう人になったのです。
そうしたら不思議なことに、
教職員も学生も皆、
明るくなり優しくなってくれました。
「置かれたところで咲く」
この生き方は、
私だけでなく学生、卒業生たちにも波及しました。
結婚しても、就職しても、子育てをしても、
「こんなはずじゃなかった」と思うことが次から次に出てきます。
そんな時にも、その状況の中で「咲く」努力をしてほしいのです。
どうしても咲けない時もあります。
雨風が強い時、日照り続きで咲けない日、
そんな時には無理に咲かなくてもいい。
その代わりに、
根を下へ下へと降ろして、
根を張るのです。
次に咲く花がより大きく、
美しいものとなるために。
〜 渡辺 和子〜
(ノートルダム清心学園理事長