1880年代の大リーガー、シド・ファーラー選手は、
8年間の実働で生涯打率2割5分3厘、本塁打18本と、
名門チームのファーストをまかされる名選手ではありましたが、
記録に残る存在ではありませんでした。
しかし、彼の娘は、とても歌がうまいと評判でした。
ある試合の後、他の選手たちが帰り支度をしていると、
その娘が1人でロッカーの前にポツンと立っていました。
「パパはどうしたの?」と尋ねる選手たち。
すると彼女は黙って出入り口を指さします。
不思議に思った何人かが外へ出てみると、
シドは観客席で空き缶やビンを黙々と拾っている最中。
何か理由があると思った一人が、シドに聞いてみました。
すると思いがけない答えが返ってきたのです>>>
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「娘に歌の才能があるとみんなが言ってくれるから、
音楽学校に行かせようと思うんだ。でも金がなくてね。
それで学費の足しにと空き缶を集めているんだよ」
この話を聞いたチームメイトは、
彼の手伝いをすることにしました。
チームメイトは、娘思いの彼の姿を、
見てみぬふりなど出来なかったのです。
彼女の歌の魅力に気づいていたのはもちろん、
「子ども思いの彼のために何かしてあげよう」という気持もあったのでしょう。
そして、空き缶集めはチームの日課となり、
その結果、シドの娘は無事に音楽学校に入学することができます。
その子の名はジェラルディンといいました。
その後、ジェラルディンは、才能を認められ、
ベルリンでオペラ歌手としてデビューします。
そしてアメリカに凱旋すると、
ニューヨークのメトロポリタン歌劇場でプリマドンナとして活躍。
圧倒的な美声と美貌を武器に、歌手として、
そして14本の映画に出演する女優として、名声を得ることになったのです。
それにしても大リーガーが空き缶拾いをしていた時代。
そしてチームメイトまでがそれを手伝う時代。
今や隔世の感があります。
今、大リーガーは破格のサラリーで、
空き缶拾いをする必要などありません。
だけど、どちらが豊かな時代なのか、
ちょっと答えが出し難い気がするのは、変でしょうか。
参考本:ちょっといい話 発行:アルファポリス文庫 著者:佐藤光浩