阿川佐和子さん、
テレビ番組の司会を始め、文筆業、レポーター、
週刊誌のインタビュアーなど、多方面で活躍しています。
そんな阿川さんでも、いやなことや悲しいことがあると、
ズーンと落ち込み、無気力の極致に至ることがあるそうです。
阿川さんの手記からのピックアップです。
こんなことがありました。
私もついに更年期障害の年頃になりまして、
突然カーッと暑くなって汗ダラダラの、
いわゆるホットフラッシュが始まりました。精神的にも不安定で、理由もないのに悲しくて、
人と会いたくない、メールの返事もしたくない。そんな時に、ヨロヨロと外に出たら、
通りすがりの年配の女性と目が合って、
なんとはなしにお互い挨拶をかわしました。「暑いですねぇ」「ねぇ、本当に」
その時、女性がこうおっしゃった。「つらいですねぇ」
単なる挨拶なのに、私は悲しくなってその人の前で、
わんわん泣いてしまったんです。その後、仕事場へ行って、
「阿川さん、どうしたんですか?」と聞かれて、また大泣き。「このままここで休んでていてもいいですよ」
「今日は帰ってもいいですよ」
と優しい言葉をかけられて、気持ちが楽になりました。以来、「そうか、つらい時はカッコつけず、
差し出された藁にすがって、吐き出してしまえばいいんだ」
と思うようになりました。(中略)
苦しい時、つらい時、つかむ藁は何本あってもいいと思います。
その時々、いろいろな藁にすがって生きてきた私ですが、
いつ思い返しても「そうそう、そうだったわ」と
勇気づけられる言葉があります。それはエッセイストの三宮麻由子(さんのみやまゆこ)さんの
『鳥が教えてくれた空』という本の中で出会った言葉です。三宮さんは、四歳で視力をなくされたのですが、
ある時、野鳥に興味をもちました。鳥の声を聞き分け、鳥の気持ちに思いを馳せる……。
鳥を通して、空の高さや世界の広さを知り、
豊かな人生観を築いていったのです。その中で三宮さんは考えます。
鳥は小さくてか弱く、他の動物のように力を持った生き物じゃない。
けれど、もしこの地球上に彼らが存在しなかったら、
世界はどんなに味気ないことか。鳥はきっと神様が作った●●●に違いない。
自分もまた●●●のような人生を送っていけたらいいと。
「●●●のような人生」
この言葉に触れた時、阿川さんは涙がこぼれたそうです。
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「箸休めのような人生」
この言葉に触れた時、涙がこぼれました。
そもそも私は、いつまでたっても
メインディッシュにはなれない人間です。ひょんなことからテレビの世界に入ったものの、
いつまでも腰掛け気分で怒られてばかり。たまたま父の悪口を書いたのが面白いからと、
エッセイを書かせていただくことになりましたが、
「何書きゃいいの?」。こんな言い方は、生意気だしおこがましいのですが、
インタビュアーも司会者も得意でもないし大好きってわけじゃない。「夢は?目標は?」「専門は何ですか?」
と聞かれるたびに身の縮む思いばかりしてきたのです。才能もない、やりたいこともない。
なんだか不安で、居場所がなくて……。
そんな時に出会ったのが、三宮さんの言葉だったのです。
メインディッシュになれなくたって、
箸休めになればいいじゃない。「あなたがいてくれてホッとした」
「あなたの文章を読んだら、笑って気持ちが軽くなった」そんなふうに思ってもらえたら幸せ。
こう考えるようになってから、迷いが吹っ切れた気がします。
参考:阿川佐和子さん「テーマトーク」
メインディッシュになれなくてもいい