彼女の父親は昔から病弱で、
入退院を繰り返す生活をしていました。
しかしある日、A子さんが学校に行っている間に、
父親が意識不明になってしまいました。
もちろん父の危機はすぐに学校にいるA子さんにも知らされました。
その場で泣き崩れるA子さん。
あまりのショックで、
病院にすぐ駆けつけることも出来ず、
ただ立ちすくんでいました。
でも、そんなときA子さんの大親友だったC子さんが、
A子さんに強い口調でこう言いました。
「これから泣くのはいつだってできるでしょ!!
今しか生きているお父さんに会えないかもしれないんだよ!!
今を逃したら、A子には後悔しか残らないよ!
それでもいいの?!」
授業の途中にもかかわらず、C子さんは、
A子さんの腕を無理やりに引っ張って、
父親のいる病院に連れて行きました。
病院に着くや否や、父親の状態がA子さんと母親に伝えられ、
すぐに手術をしないと今晩にも生命が危ぶまれるとのこと。
でもそこに問題がありました。
そこの病院には長時間の大手術ができるほどの輸血がなく、
手術をするのが困難とのことでした。
また他の病院に搬送するためには、時間的・人的な制約があるとのこと。
それを聞き、A子さんと母親は、
内心父の死を覚悟して、呆然たる思いに陥ったそうです。
それをそばで聞いていたC子さんがある行動を起こしました>>>
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C子さんは、「ちょっと待ってて」と言って
外に出て行きました。
やがてしばらく後に、C子さんは、
高校のクラスメイトたちを引き連れて病院に駆けつけました。
クラスメイトはみな走ってきたからでしょう、
額に汗を流し、息も切れ切れにこう言いました。
「C子から話は聞いた。血液型A型のやつがそろっている。
早く俺たちの血を使って、お父さんの手術に役立ててくれ!」
みんな笑顔でA子さんを励ますとともに、協力を願い出てくれたのです。
そしてみんなの協力が実って
A子さんの父親は奇跡的に一命をとりとめました。
あとから聞いた話ですが、みんなが駆けつけてくれたのも、
C子さんが息をきらしながら、血眼で授業中のクラスに飛び入ってきて、
みんなに泣きながら協力を願ってくれたからだったのです。
彼女の父親を助けてあげてと。
そして授業中にもかかわらず、A子さんのためにと
全クラスメイトが一丸となって動いてくれたのです。
なぜ彼女がそこまでしてくれたのか。
それにはわけがありました。
C子さんは幼いときに父親を交通事故で亡くしていたのです。
父親の最期に立ち会えなかった悲しさ、
助けてあげられなかった悔しさから、
A子さんを何とかしてあげたいとおもったのでしょう。
C子さんはA子さんと自分自身を重ねていたのです。
A子さんは思い出すたびに、
あの日のC子さんへの感謝を禁じ得ないとのことです。