汚れたら自分で洗い流してみろ

b107
が中2の時だったかな?
当時はすごく荒れていた。

中学時代特有の反抗期で、
窃盗、暴力… いろんなことをやってきた。

部活は野球部。
気持は荒んでいたけれど、部活だけは一生懸命だった。

野球部顧問の先生はすごく怖かった。
叱られ、鍛えられて何度もやめそうになったよ。
それでも俺は続けた。

なにより野球が好きだったから。

そんなある日、事件を起こしてしまった。

俺は、悪い仲間とともに万引きで警察に捕まった。

署で指紋をとったり、事情聴取などをされた。

無論、警察から親に連絡をして、母が迎えに来ることになった。

母が来て、母は必死に警察の人に頭を下げていた。

そのあと親にはこっぴどく怒られた。

母は口をきいてくれない。親父には殴られる…

そのあと警察からは、学校にも連絡が行った。
それにより、俺は一週間の部活停止…

顧問の先生にはもちろん怒られた。
目の玉が飛び出るほど叱られた。

もう終わりだと思ったよ。

このまま部活を退部して、ぐれて、
ろくでもない人生を送るんだと思った。

顧問の先生は、いったん叱り終えると、
俺に膝づめで向かい合った。

「お前の汚れは、自ら洗い流せ」

「え?」

俺は意味が分からなかった。

やり直すつもりがあるなら、
自らの汚れを洗い流す方法を教えてやる、
先生は、そう言って俺の目を見た>>>

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ょとんとした俺は、先生に逆らうつもりはなかった。

怖いけどこの先生は、常々生徒を見捨てることはしない。
この時も先生だけが俺のすがる命綱のようなものだった。

部活停止の一週間、すべてトイレ掃除をすることを
顧問先生に指示された。

全学年のトイレを掃除した。

それでも先生は、単に俺に罰を与えて
そのまま見放すつもりでないことはよく判った。

先生もトイレ掃除に付き合ってくれたのだ

先生は部活には顔をださず、その一週間、
ずっと俺のトイレ掃除を手伝ってくれた。

一生懸命、便器をこすってる先生の背中を見て、俺は思ったよ。

『変わろう』って。

ここで変わらなきゃ、俺は男失格だ。

それから俺はぐれることなく、中学、高校を卒業した。

今は普通に働いて、家族もいる。

今の俺があるのは、あの先生のおかげだと真にそう思う。

ありがとうございました。先生。

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