俺は上司含め、同僚が苦手というか
あまり好きではなかった。
ワイワイと騒ぐ職場の環境に馴染むこともなく、
昼飯や飲みも付き合いはするが、
仲の良い同僚なんてものはいなかった。
そんな俺の性格を理解してか、
周りもあまり俺に近づいて来ようとはしなかった。
ある日、外回りから帰って、さっさと席に着き、
コツコツを事務処理をやっていた時のこと。
上司が近づいてきて、
「○○くーん、この間の件(それは極秘の一件)、
ゲットできたらしいな、よくやった!」
ふだん、どんないいことしても、
決して褒めない上司が、褒めた。
しかも今まで見せたこともない超笑顔。
さらに後輩が、
「○○さん、明日、某取引先に行くんですけど、
同行していただけますか?
いろいろ教えていただきたいんです」
ふだんは、何か分からないことがあっても、
俺を避けて、俺の隣の者に質問してる、
ちょっとおちゃらけ後輩がそんなことを言い出すし。
とどめに女の子が、いつもはスルーする俺に、
コーヒー持ってきてくれたり。
何か変だ。
どうもおかしい。
明らかに俺は優遇され過ぎていた。
・・・おかしい。
この時期に昇進か?
まさかの転勤・・・
妻子も家もあるのに。
そんことに思いを巡らせている時、
やたら背の低い影が俺に近づいてきた>>>
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やたら背の低い影・・・
それは息子だった。
仰天して椅子から転げ落ちそうになった。
どうやら幼稚園で、父の仕事を
発表することがあるらしい。
聞いてない。
…のは俺だけで、
嫁が事前に上司に許可をもらってたと。
それで皆、変だったのだ。
息子も何だか嬉しそうだし。
いいのかな、これで。
ふだんの俺を見たら、
きっと息子、寂しそうだなぁとか思っただろう。
その夜、飲み会があった。
今回の件、課長が根回ししてくれたり、
おちゃらけ後輩が、自ら俺に話しかけたいと言ったこととか、
いろいろ分かった。
そのことがきっかけで、
それからは、仕事に感情を出せるようになった。
仕事が、職場が、
楽しいと思えるようになった。
そして、息子の発表会には行けなかったが、
息子はとても誇らしげに語ったみたいだ。
みんな大好きだ!