少し変えたら、職場が楽しくなった

a970
卒から勤続8年目。

俺は上司含め、同僚が苦手というか
あまり好きではなかった。

ワイワイと騒ぐ職場の環境に馴染むこともなく、
昼飯や飲みも付き合いはするが、
仲の良い同僚なんてものはいなかった。

そんな俺の性格を理解してか、
周りもあまり俺に近づいて来ようとはしなかった。

ある日、外回りから帰って、さっさと席に着き、
コツコツを事務処理をやっていた時のこと。

上司が近づいてきて、
「○○くーん、この間の件(それは極秘の一件)、
 ゲットできたらしいな、よくやった!」

ふだん、どんないいことしても、
決して褒めない上司が、褒めた。

しかも今まで見せたこともない超笑顔。

さらに後輩が、
「○○さん、明日、某取引先に行くんですけど、
 同行していただけますか?
 いろいろ教えていただきたいんです」

ふだんは、何か分からないことがあっても、
俺を避けて、俺の隣の者に質問してる、
ちょっとおちゃらけ後輩がそんなことを言い出すし。

とどめに女の子が、いつもはスルーする俺に、
コーヒー持ってきてくれたり。

何か変だ。

どうもおかしい。

明らかに俺は優遇され過ぎていた。

・・・おかしい。

この時期に昇進か?

まさかの転勤・・・

妻子も家もあるのに。

そんことに思いを巡らせている時、
やたら背の低い影が俺に近づいてきた>>>

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たら背の低い影・・・

それは息子だった。

仰天して椅子から転げ落ちそうになった。

どうやら幼稚園で、父の仕事を
発表することがあるらしい。

聞いてない。

…のは俺だけで、
嫁が事前に上司に許可をもらってたと。

それで皆、変だったのだ。

息子も何だか嬉しそうだし。

いいのかな、これで。

ふだんの俺を見たら、
きっと息子、寂しそうだなぁとか思っただろう。

その夜、飲み会があった。

今回の件、課長が根回ししてくれたり、
おちゃらけ後輩が、自ら俺に話しかけたいと言ったこととか、
いろいろ分かった。

そのことがきっかけで、
それからは、仕事に感情を出せるようになった。

仕事が、職場が、
楽しいと思えるようになった。

そして、息子の発表会には行けなかったが、
息子はとても誇らしげに語ったみたいだ。

みんな大好きだ!

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