今、まさに北陸では厳寒の中、崩壊した家屋、インフラに立往生し、
孤立や避難の生活、真っただ中の方々がいます。
このお話は13年前、東日本大震災のときの、
ひとりの芸人のとった行動についての実話です。
13年前ですが、まだこの日の現実もまた
風化させるには早すぎます。
いろんな人がいろんな立場で、3.11を風化させないための活動を続けています。
このお話は、当時、いてもたってもいられなくて行動を起こした芸人、
江頭2:50さんのエピソードです。
当時、孤立化していた福島県いわき市に、
支援物資を極秘で届けていたお笑い芸人の江頭2:50さん。
当初、本人はこの件を公にするつもりはなかったものの、
ツイッターで話題となったのをきっかけに、話が広まり、
多くのメディアにも報じられることになりました。
江頭さんは、
「言っておくけど、オレはこの話をするつもりは
なかったんだよ。でも、新聞とかツイッターで、
色々書かれてるし、だったら自分の口でほんとの話を言うから」
と語りました。
支援活動の裏側を話すのは本意ではない、と前置きした上で、
今回の顛末を語り始めました。
物資を届けようと思い立ったきっかけは、
NHKで、
「いわき市が原発の問題で支援物資が届かない。
しかも、老人たちが孤立している」
との話を聞いたこと。
その瞬間、
「エガちゃん、…エガちゃん助けて」
「エガちゃんしかいないよ」
「エガちゃんの登場だ!」
そんないわき市からの声が聞こえたとのことです。
反射的に、江頭さんはいわき市に向かおうと決めたそうです。
また、同時に高田文夫事務所所属の
松田健次を同行者に思い浮かべました。
しかし、最初に立ちはだかったのは、トラックの手配でした。
レンタカーはガソリンがないため借りられず、友達に相談しました。
すると、運送会社の人を紹介してもらうことが出来ました。
「救援物資を運ぶのに、トラックを貸してもらえませんか」
と直談判したところ、
「わかりました。じゃあ好きなトラックに、乗って行って下さい」
と快諾を受け、2トントラックを無事借りることができました。
次は資金の問題です。
2トントラックを借りた以上、
物資を満載して届けたいとの思いから、
「風俗に行くためにプールしてたお金、
アコムから借りてきたんだよ」
と借金したことを告白しました。
続けて、肝心の物資の調達です。
色々なところに相談をしたものの、
この時期、どこも物資不足に陥っていました。
「一つか二つくらいしか譲ってくれないんだよ。もうカチンだろ」
ここで難航してしまったのです。
ところが、マネージャーからの提案で、
会員制の倉庫型店「コストコ」の一番上の人に電話をし、
事情を話したところ、
「明日、あるだけの物資、持って行って下さい」
との返事をもらえました。
その結果、水やおむつ、ペーパータオルなどの物資を
2トン車いっぱいに買える分だけ購入し、
いわき市へと出発しました。
松田の手配により、「緊急通行車両確認証明書」を手に入れたため、
ガソリンの補給なども含め、道中はスムーズだった模様。
向かった先は、いわき市にある老人ホームで、
スタッフからは、本当に必要な物資だったと、
何度も何度も感謝されたそうです。
そして、老人ホームを後にしようと車に乗り込むと、
一人の看護師さんが、怪訝な表情をこちらに向けています>>>
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「あら、あら?え、江頭さんですよね?!」
看護師さんが声をかけてきました。
物資を届けに来た数人のうち一人の男が江頭であると気づかれたようです。
他の看護師さんたちもダーッと集まってきて
「エガちゃん!?エガちゃん」という状態になりました。
「もうしょうがないじゃん。あ、バレたーーー?」
と隠し通すことはあきらめて、
帽子とサングラスを外し、ポーズを決めながら、
「物資送るの遅れてごめんなー!」
など、いつもの調子になりました。
看護師さんたちに、ゲラゲラの笑いがあふれ出し、
和やかな空気にその場が包まれたそうです。
江頭さんは、「感動しました」と言われることに対し、
「いや、違うんだよ。ほかの芸能人はお金を物凄い金額で
募金してるじゃない。オレはお金ないからさぁ、
体で払ってきただけなんだよ」
と控えめな姿勢を崩しません。
「オレはちょっとの人間を喜ばせて、それもちょっとの物資だよ。
ながーく何日も何日もボランティアをやってる人に比べたら、
全然大したことじゃないんだよね、いや正直な話言うと。ほんとなんだよ」
と語っています。
さらに数日後、借金までしてしまった江頭さんは、
お金がないので、自分のタイツをYahoo!オークションに出品しました。
その時の落札額も、全額被災地に寄付したそうです。
ちなみに、その落札額は28万円だったとのことです。