親友とのメロンカップでの姉妹の盃

a907
学校6年くらいの時のこと。

親友と、先生の資料整理の手伝いをしていた時、
親友が「あっ」と小さく叫んだのでそちらを見たら、
名簿の私の名前の後ろに、
鉛筆書きの小さなメモが記されていました。

そのメモは、一瞬で私の頭の中を真っ白にしてしまうほど、
ショックなことでした。

私の名前の後ろに記されたメモ書き、

・・・それは『養女』というひと言。

その時まで、何の疑いもなく、実の両親だと思っていた人が、

そうではない。

幼い子供にとって、こんな衝撃はありません。

帰り道、どんな顔で家に帰っていいか分からず、
公園のブランコに座って、立てなくなった私に、
親友は、ずっと付き添っていてくれました。

そして、

「よし、じゃあ私と姉妹の盃を交わそう」

とか言って、カバンの中から何か容器を取り出しました。

それはメロンの形をしたアイスの容器で、
その中に水道の水をくんで、お互いに飲みっこしました。

いったい、何のテレビを見たのか、

「盃の契りは、血のつながりより強いんだよっ」

なんて、メロンのカップ片手に言う親友がおかしくて、

思わず、泣きながら笑いあいました。

十数年経って、私が結婚することになり、
結婚直前に、二人でお酒を飲むことにしました。

「あの時はありがとう」と驚かそうと思って、
あの時もらったメロンのカップを、
カバンにこっそり忍ばせていました。

そして、それを見せたとたん、

突然、親友がポロポロ泣き出して、
こんなことを言いました>>>

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の時、あの時、気づかせてしまって、ごめんね」と。

「養女」の文字を隠さなかったことを、
ずっとずっと悔やんでいたんだと、

そう言って、親友は泣きました。

そんなこと、反抗期に親に反発しそうな時も、
進学の学費面で、親に言えなくて悩んだ時も、
机の上でメロンのカップが見守っていてくれたから、

あなたがいてくれたから、

やってこれたんだと伝えたかったのです。

でも、涙ボロボロ流しながら、声にならない声で、、
「ごれ~~っ」とメロンのカップを出すしかできませんでした。

親友も同じく、ボロボロ涙流しながら、
「あ~ぞれぇ~~!」と言って、

お互い笑って泣いて、お酒を酌み交わしたのでした。

もちろん、メロンのカップで。

もうすぐ親友の結婚式があるので、
こんなことを思い出したのでした。

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