姉が選んだ結婚衣装とは?

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いちゃんという女の子は、手足が不自由でした。
そして、いつもうつむきがちの、どちらかというと暗い感じの子供でした。

そのきいちゃんが、ある日とても嬉しそうな顔で、
「山元先生!」と言って、職員室に飛び込んできたのです。

「お姉さんが結婚するのよ、今度、私、結婚式出るのよ。
 ねえ、結婚式ってどんななの?
 私どんなお洋服着ようかな」
と、とても嬉しそうでした。

「そう良かったね」
と私も嬉しくなりました。

ところが、それから一週間もしない頃、
今度はきいちゃんが教室で泣いている姿を見つけたのです。

「きいちゃん、どうして泣いてるの」と聞くと、

「お母さんが、結婚式出ないでって言うの。
 私のことが恥ずかしいのよ。お姉ちゃんばっかり可愛いんだわ。
 私なんか産まなきゃ良かったのに」
とそう言って泣いているのです。

きいちゃんのお母さんは、
お姉さんのことばかり可愛がるような方ではありません。
どちらかというと、かえってきいちゃんのことを
いつも可愛がっておられて、
目の中に入れても痛くないと思っておられるような方でした。

けれど、もしかしたら、きいちゃんが結婚式に出ることで、
知らない人から偏見の目で見られたり、
お姉さんが肩身の狭い思いをするんじゃないかと、
そのようなことをお母さんが考えられたのではないかと、想像しました。

きいちゃんに何と言ってあげていいか分かりませんでしたが、
ただ、結婚式のプレゼントを一緒に作ろうかと言ったのです。

お金が無かったので、安い晒(さらし)の生地を買ってきて、
きいちゃんと一緒にそれを夕日の色に染めたのです。

それでお姉さんに浴衣を縫ってあげようと提案しました。

でもきいちゃんは、手が不自由なので、
きっとうまく縫えないだろうなと思っていました。

けれど、一針でも二針でもいいし、ミシンもあるし、
私もお手伝いしてもいいからと思ってました。

けれど、きいちゃんは頑張りました。

最初は手に血豆をいっぱい作って、
血をたくさん流しながら練習しました。

一生懸命にほとんど一人で仕上げたのです。

とても素敵な浴衣に仕上がったので、
お姉さんのところに急いで送りました。

すると、お姉さんから電話がかかってきました。

きいちゃんだけでなく、私も結婚式に出てくださいと言うのです。

お母さんの気持を考えて、どうしようかと考えましたが、
お母さんにうかがうと、
「それがあの子の気持ですから、出てやってください」
と仰るので、出ることにしました。

お姉さんはとても綺麗で、幸せそうでした。

でも、きいちゃんの姿を見て、何かひそひそお話をする方がいます。
私は、きいちゃんがどう思っているだろう、
来ない方がよかったのではないか、
そんな心配をしていました。

そんな時に、お色直しから扉を開けて出てこられたお姉さんは、
驚いたことに、きいちゃんが縫ったあの浴衣を着ていました。

そして、お姉さんは旦那様となられる方とマイクの前に立ち、
私ときいちゃんをそばに呼んで、次のようなお話をされたのです>>>

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の浴衣は、私の妹が縫ってくれました。
 私の妹は、小さいときに高い熱が出て、手足が不自由です。
 でもこんなに素敵な浴衣を縫ってくれたんです。

 高校生でこんな素敵な浴衣が縫える人は、
 いったい何人いるでしょうか。

 妹は小さいときに病気になって、
 家族から離れて生活しなければなりませんでした。
 私のことを恨んでるんじゃないかと思ったこともありました。

 でも、そうじゃなくて、私のために
 こんなに素敵な浴衣を縫ってくれたんです。

 私はこれから妹のことを、大切に、
 そして、誇りに思って生きていこうと思います」

会場から大きな大きな拍手が沸き上がりました。

きいちゃんもとても嬉しそうでした。

お姉さんは、それまで何もできない子という思いで
きいちゃんを見ていたそうです。

でもそうじゃないと分かったときに、
きいちゃんはきいちゃんとして生まれ、
きいちゃんとして生きてきた。

これからも、きいちゃんとして生きていくのに、
もしここで隠すようなことがあったら、
きいちゃんの人生は、どんなに寂しいものになるんだろう。

この子はこの子でいいんだ、
それが素敵なんだということを
皆さんの前で話されたのです。

きいちゃんは、そのことがあってから、とても明るくなりました。
そして「私は和裁を習いたい」と言って、
和裁を一生の仕事に選んだのです。

手が不自由なことくらい何だ!
最も手先の動きが大切な仕事、和裁を一生の仕事として選んだきいちゃん。
あなたの夢を追う勇気に、大いに敬意を払います。

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