それはデパートの一角のスタンドで、
私と母がコーヒーを飲んでいた時のことでした。
「女っていくつになっても甘いものが好きなんだねえ」
目を細めてつぶやく母。
見ると、70歳半ばのおばあちゃんが、
ちょこんと座ってソフトクリームをなめていたのです。
ところが、お年寄りのことです。
手元が狂ったのか、クリームをポトリと床の上に落としてしまいました。
大慌てでティッシュを探す私と母。
その時のことです。
ひとりでスタンドを切り盛りしていたお兄さんのとった行動。
それがとても印象的だったのです。
その行動とは>>>
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お兄さんは、そのとき、まず並んでいたお客さんに、
「すみませんが、ちょっとだけお待ちいただけますでしょうか」
そう言うが早いか、備え付けの紙ナプキンをごっそりとわしづかみにすると、
カウンターをひとっ飛びにして、おばあちゃんの所へかけつけました。
「大丈夫ですか?」
そう言うと、まずおばあちゃんの口の周りをふいてあげたのです。
それから洋服についたクリームをふいてあげ、
床に落としたものを始末して、モップをかける。
それは、お見事と言っていいほどの手際のよさでした。
カウンターの中に戻り、「どうもお待たせしました」
そう言って頭を下げたお兄さん。
手が空くと、今度は初めの時より少なめのソフトクリームを、
さっきのおばあちゃんにさりげなく手渡していたのです。
こんなに細やかな心配りを実に自然にやってのけたお兄さん。
「してあげた」という気持を持たない好意こそが、
本当の親切なのだと教えられた気がして、少し自分が恥ずかしくなりました。
彼の身についた自然な親切に、頭が下がる思いでした。