パプア・ニューギニアの東に、ブーゲンビルという
約18万の人々が暮らす島があります。
一時期、この島は内戦状態にありました。
この島には埋蔵量豊かな銅鉱山があり、
この利権を政府とその息のかかった鉱山会社が独占します。
島民は、島の自然は壊されるわ、生活は豊かにならないわで、
独立を求めてゲリラ軍を組織します。
ところが、いつの頃からか、なぜか
独立を求める人たちの間で戦闘が起こってしまいます。
どこからか武器が供給され、島民同士が傷つけあいます。
人口18万の島ですから、敵の中に親戚がいるということもありました。
そんな状況に、1人のゲリラ兵が疑問を感じました。
そして、武器の供給経路を調べていくうちに、
自分たちが戦わされていることに気がつきます。
「本当の敵は他にいるんじゃないか。
誰かがこの戦争で儲けているんじゃないか」
「死ぬのも殺すのも怖い。戦いを止める方法はないか」
そこで彼は仲間を集め、ある指示を出しました>>>
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彼の仲間に与えた指示はこうでした。
「敵を撃つときには大きく的から外そう」
「逃げるときには建物のあちこちに『WE LOVE YOU』と書こう」
また、敵とばったり出くわしたときには、笑顔で手を振ってから逃げ、
平和を望むチラシを配るなどして、不戦の意思を伝えていったのです。
彼の活動は戦線に大きな影響を及ぼしました。
前線の兵士たちが、次第に殺し合わなくなったのです。
そんな状況の変化を見て、彼は内戦を望んでいる人は
ほとんどいないと確信します。
そこで彼は武器を上官に渡すと
「私はもう人殺しはしません。あなたが自分でやってください」
と告げました。
1998年、島民はパプア・ニューギニア政府と交渉して自治権を獲得。
鉱山会社の営業権を取り消し、
島から出ていってもらうことができました。
彼は戦争が終わってこう話したそうです。
「私は臆病だから、戦争で死ぬのは本当に怖い。
だけど、平和のために死ぬのは構わない」