飛び込みセールスで、まったく注文がとれず悩んでいるセールスマンがいました。
Yさんとしておきます。
Yさんは、見かけも悪くないし、頭もいい。それに話も上手です。
それなのに、仲間や後輩セールスにどんどん追い抜かれていきます。
半年も注文がとれなかったら、悩みも頂点に達してきました。
「俺にはいったい何が不足してるんだろう」
つい、奥さんにもこぼしてしまいました。
奥さんは、こう言いました。
「何かが足りないんじゃなくて、何かが多すぎるんじゃないの?」
そう言われて、Yさんはハッとしました。
これまでのYさんは、なまじ話も上手なだけに、自分が話すことが多く、
押しつけがましいところがあったようです。
契約をとらんがために、押して押して・・・そして結局お断り。
そんなパターンが多かったのです。
それからのYさんは、少し態度を改め、できるだけ自分が主体で話すのではなく、
相手に話させるように心がけました。
それから、少しずつお客様の反応もよくなってきたそうです。
しかし、それでもなかなか一つ目の契約に結び付きません。
ある日のこと。
もう少しで契約に結び付きそうなお客様のもとに、
Yさんは最後のツメの訪問に向かいました。
その客先で、Yさんは大きなショックを受けることになります。
最後のツメの甘さというのでしょうか。
前回の訪問の後、ライバル会社のセールスマンが訪れ、
ちゃっかり契約の横取りをされてしまったのです。
Yさんは愕然としました。
お客様を恨むわけにはいきません。
営業をやってると、よくあることです。
悪いのは自分の油断、自分の甘さでしかありません。
Yさんは、下を向いて肩を落としながら歩いていました。
下向きの視線の先で、Yさんはある重要なことに気づいたのです>>>
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そういえば、俺の靴っていつもキレイだよなぁ。
泥だらけの道を歩くことだってあるし、雨にぬれてビショビショになることだってある。
でも、毎朝、ピカピカに磨いてある俺の靴。
そう、奥様が毎朝お出かけ前のYさんの靴を磨いていたのです。
それを見ていた娘さんも、忙しい朝はお母さんの代わりに磨いていたそうです。
Yさんは「目の前に」ありがとうと言う相手がいるのに気づかなかったのです。
自分はそんなことも気づかないくらいに、心の余裕がなかったんだ。
いささか、ショックを受けました。
契約の横取りよりも、大きなショックを受けたのです。
「自分に足りないモノを探すより、多いものを減らす」
「目の前にある感謝を忘れない」
このふたつを教訓として得たYさんのその後は・・・。
そうご想像の通り、もともとがセールスの素養があるYさんです。
メキメキと頭角を現し、お客様からの信頼厚い、
トップセールスに成長していきました。
参考本:3秒でみんなハッピーになる名言セラピー
著者:ひすいこたろう
出版:ディスカバー21