大阪のお菓子の卸・流通の会社です。
どこが面白いかというと、
ここの会長と社長(ご兄弟)の、従業員をその気にさせる仕掛けがスゴイんです。
「世の中、豊かになったというけど、
メロンを食べる時は一切れだけ。
いっぺん、メロンをお腹いっぱい食べたいなぁ」
という女子社員の声を柱の陰で聞いた社長さん、
「よっしゃ、うちそれやったろ」
と言って、「メロンの日」というのを設けました。
その日、社員さんはマイスプーンを持って出勤。
午後3時になったら、全社員に高級メロンを半分ずつ振舞います。
その他にも、全社員のあみだくじで金の延べ棒プレゼントとか、
会長の車を運転手付きで、休日の社員に貸し出すとか、
優秀営業マンにベンツの貸与などなど、
とにかく、ここの会長さんと社長さんは、遊び心満載で、
社員さんを喜ばせるのに一生懸命なのです。
そんな感じの経営を行っていながら、
この会社の営業成績はしっかりしています。
お菓子の問屋であり、かつ直営、フランチャイズにより、
「お菓子のデパートよしや」というお店を、
100店舗以上で全国展開しています。
売上高営業利益率(本業による利益率≒その会社の体力)は、
業界ナンバー1だそうです。
そんな吉寿屋(よしや)さんですが、
数年前のリーマンショックの時は、初めて売上が落ちました。
それでも、他社が倒産の危機に瀕する時期にすら、
わずか4ヵ月で、売上の回復を図りました。
その時の建て直し方が、この会社の経営者らしくて、
大変おもしろいんです。
どんな方法をとったか?>>>
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まず、1ヶ月目です。
全従業員の家に、北海道カルビーの工場からの「ジャガイモ」を送りました。
ひと言だけメッセージを付けました。
「会社、売り上げ前年割れになった。ここはみんなで頑張ろう」
ゴチャゴチャ書かず、それだけを書いて、従業員の家庭に送りました。
2ヵ月目、
同じく「カボチャ」を送りました。
3ヶ月目は、丹波篠山の「黒豆」を送りました。
従業員の奥さんは、
「なんや、お父ちゃんの会社、急に毎月、
いろんなもの送ってくるなぁ」と思いながら、
ふとメッセージカードを見ます。
そこに業績が落ちている、と書いてあります。
「お父ちゃん、あんたの会社、いいところやないの。
苦しいのにこんなにしてもろて。
あんたもしっかり頑張らなあかんで」と言います。
普通、会社が苦しくなると経営者は、
「みんな、しっかり頑張れ」と社員のお尻を叩いたり、
経費を出来るだけ、削ろうと努めます。
でも、ここの経営者は、お金とヒトの使い方が大変上手なのでしょう。
苦しい時に、敢えて社員さんのためにお金を使い、
経営者がハッパをかけるのではなく、奥さんを味方に取り込みました。
その結果、社員さんにどういう行動の変化が起きたか?
普通、営業マンは夕方5時ころになったら、
「あと30分か、そろそろ会社に戻らなあかんな」とか、
「時間調整のため、ほんのちょんの間、茶ーでもしてくか」
と、こうなります。
ところが、吉寿屋(よしや)の営業マンの方々はこうです。
「あと30分しかないけど、
いつも会社からいろんなもの送ってもらってるな、
それにカーちゃんも頑張れ言うてるし。
よっしゃ、もう一軒回って帰ったろ」
実は、これが大きいんです。
仕事のマネージメントを経験された方は、よくお分かりでしょう。
営業にしろ間接業務にしろ、もう1軒とか、もう1事項とかの
行動の差、それはその日だけのこととすれば「微差」に過ぎません。
しかし、その微差が日々積み上がった時の「差」。
これが大差になるのです。
そんな社員さんの行動の差別化により、
吉寿屋(よしや)さんは、リーマンショック後のたった4ヵ月後に、
通常営業への建て直し、V字ターンを実現したのでした。
繰り返しになりますが、会長さん・社長さんは、
お金とヒトの使い方の達人だと思います。
人様が使いたくないときには、お金を使い、
自分が社員に言いたいときには、奥さんに言ってもらう。
その方が、よほど人材が「人財」として機能する、
そんな理屈をよく承知しておられます。
参考記事:東洋経済オンライン
「社員の家にイモを送ったら業績が回復した!」より
http://toyokeizai.net/articles/-/82008