Aちゃんとは、かつての同級生でした。
今はまだそれほど目立たないけど、Aちゃんは妊婦です。
妊娠中のあれこれの話をしていたら、
そばに座ってたサラリーマンの方がどうぞと席を譲ってくれました。
ありがたく、Aちゃんをそこに座らせてもらいました。
私がAちゃんの前の吊皮を使って立っていたところ、
恰幅のいい、化粧臭いおばさんが乗ってきて、
あたりを見回した後、Aちゃんに向かって
信じられないセリフを言うのです。
「あんた席ゆずってや」
私が、「この人妊婦なんです、すみません」と言ったら、
少し意地になったのでしょうか、
おばさんは、ムッとした顔でこう言いました。
「あんたまだ若いやないの。すぐ降りるから代わってや」
気まずい雰囲気になって、Aちゃんが席を立とうとしたら、
別の席から声がかかりました>>>
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別の席の声の主は、近くに座っていた女子高生でした。
彼女は、「こちらの席にどうぞ」と言ってくれました。
おばさんは、ありがとうも言わずに、
憮然とした表情で、その席に座り込みました。
席を譲ったその女子高生。
彼女は松葉づえでした。
後でそれに気づいたおばさん、さすがに気まずい表情でした。
松葉づえの女子高生には、別の人がすぐ席を譲ってくれて、
その人が降りる時、女子高生に、
「あなた偉かったよ」と囁いていました。
たまたま、私と同じ駅で降りた女子高生とそのお友だち。
駅の中のドトールに入ろうとしてました。
ささやかながら、その子たちに、
私はケーキをご馳走させてもらいました。