ソチ・オリンピックでの、引き継がれた助け合いの精神

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014年2月11日に行われたソチ五輪、
クロスカントリー、男子スプリント競技でのこと。

ロシア代表のアントン・ガファロフ選手がレース中に転倒し、
スキー板が折れてしまうハプニングが起こりました。

ガファロフ選手はそれでも立ち上がり、
何度も何度も前に進もうとしますが、
そのたびにスキー板の破損を悪化させ、
そのスキー板は、終いには木っ端みじんとなりました。

もはやどうすることも出来ない状況の中、
突如コース内に誰かが侵入してきました。

その人は(自国ロシアではなく)、カナダのコーチでした。

一本のスキー板を持ってコース内に飛び出し、
ロシア選手にスキー板を手渡したのです。

ガファロフ選手は競技を再開し、
皆とは大きく遅れたものの、
無事にゴールすることができました。

同じチームの選手ではなく、
競技では敵チームとなるはずなのに、
そのカナダコーチは、何の迷いもなく
他国選手にスキー板を差し出したのでした。

ちなみに、他の選手に道具を貸し与えるのは、
ルール違反ではないので、失格にはならないそうです。

カナダコーチへのインタビューで、
「見ていることが出来なかった。
 ロシア代表のガファロフ選手に
 母国で恥をかかせたくない一心だった」
と思いを語りました。

しかし、この話には続きがあります>>>

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は、このカナダコーチの妻は、元アスリートで
トリノ五輪のスキー距離女子団体スプリントのチーム員だったそうです。

その妻のチームメイトが、
トリノ五輪の決勝戦で、ストックが折れてしまう
というハプニングに見舞われました。

メダルのかかっている決勝戦です。

そんな中、起きたハプニングによって、
メダルは絶望的と思われました。

しかしここで、まさかの事態が起きます。

なんと決勝戦に出ているノルウェーのコーチが、コースに飛び出て、
カナダチームに新しいストックを渡したそうです。

話はこれだけではありません。

実際のところストックが折れていた時に、
カナダは4位まで後退し、メダルの届かない順位にいました。

そして、ノルウェーはカナダよりも前におり、
メダル圏内でした。

そのまま放っておけば、強いカナダはそのまま脱落して順位を落とし、
自国のチームがメダルを獲得するという状況下で、
ストックを手渡したのです。

その結果、カナダチームは順位を上げ、銀メダルを獲得。

一方、自国のノルウェーチームは4位となり、
メダルを逃すこととなってしまいました。

普通に考えたら、オリンピックという大舞台で、
メダルにこだわる人間ならば、あり得ない行動です。

その行動は、周りから誹謗中傷の的になりかねないと、
想像されました。

しかし、カナダのみならず、ノルウェー国内でも話題騒然となり、
それは批判をするのではなく、
このコーチの行為を讃える言葉が大勢だったそうです。

カナダからは、このコーチに7400個ものメープル・シロップが贈られ、
ノルウェー国内でも、コーチが支援するガン撲滅慈善団体に
270万円もの寄付が行われたそうです。

この時のトリノ五輪の恩義があったので、ソチ五輪において、
カナダコーチは反射的な行動として、飛び込んだのだと思います。

オリンピック、スポーツに国境はない、
とはよく言われますが、これはまさにその具体的実例と言えるでしょう。

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