矢沢永吉がある年の全国ツアーを行なった際、
そのツアーを取り仕切るイベンターに対して、ひとつだけ条件を出しました。
「ツアーのためなら何でもやるよ。
ただ、ライブの後に必ずシャワーを浴びられるようにしてくれないか」
矢沢さん、ライブで完全燃焼するため、大量に汗をかきます。
だからコンサートが終わったらすぐに、すっきりとした気分で、
オフの自分に戻るというのを常に心がけていたのです。
ある地方都市のライブでのことでした。
イベンターが会場に着いてみると、
なんとそのホールにはシャワールームがない…。
スタッフは慌てました。
ライブの時間も迫っているし、お客さんも集まり始めています。
まさか今から会場の変更など出来っこありません。
矢沢さんと交わしたたったひとつの約束、それを守れなかった・・・。
イベンターはそんな自分に腹が立ちました。
そして何か代わりになるものはないかと、町中を探し回りました。
時間がありません。
やっと手に入ったのは、子供が使うような簡易のシャワーセットでした。
とりあえず、コンサートの後ではなく、始まる前に謝罪しなければ…、
そう思いました。
もしそれで矢沢さんが怒ってライブが取りやめになってしまったら、
とにかくすべての責任は自分でとるしかない。
イベンターは手違いでシャワールームが用意できなかったことを謝罪し、
「こんなものしか用意できませんでした」と簡易シャワーを見せました。
「すべては私のミスです。自分の責任です」
イベンターは、そう言って頭を上げることができませんでした。
矢沢さんは「マネージャー、ちょっと」と、
そばにいるスタッフに声をかけました>>>
↓Facebookの続きは、こちらからどうぞ↓
「このまま帰ってしまうのでは」
そうイベンターが覚悟した瞬間、なんと矢沢さんは予想外のことを言いました。
「これからこのイベンターが持ってくる仕事、
ヤザワすべて引き受けますから」
そう言い残して、矢沢永吉は、颯爽とステージに向っていきました。
自分のミスを潔く認め、自分にできる最大限のことで償おうとしたイベンター、
その潔い態度に、矢沢さんも信頼性を感じたのでしょう。
彼の持ってくる仕事なら、間違いないだろう、
そんな意味の「ヤザワ、すべて引き受けますから」だったのです。
いざとなった時、特に自分が失敗した時に、その人の真価が現われます。
超一流のエンタテイナーである矢沢永吉が、
そんなところを見誤るはずはなかったわけですね。