後藤さんは、20数年間、松下幸之助の下で働きました。
「松下幸之助さんの思いやりが身に染みたことがありましたか」
後藤さんは、往時を思いだすかのように目を細めました。
あれは戦前のことやったなあ・・・。
ある時、幸之助はんがわしを烈火のごとく怒ったことがあった。
そばにあったダルマストーブを火箸でガンガン叩いて怒るんや。
あまりの激しさにとうとう火箸が曲がってしもうた。
叱られてクシュンとなって退出しようとすると、
「待ちなはれ。火箸をまっすぐ直してから出て行きなはれ!」
と、こう言わはるんや。
火箸を叩きのばしながら、わしは思うた。
『くそっ!こんな会社、辞めたる』
ムシャクシャして家に帰った。
家に帰ったら予想外のことが>>>
スポンサーリンク
↓Facebookの続きは、こちらからどうぞ↓
ムシャクシャして家に帰ると、女房が、
「お帰りやす。お疲れさんやす」
とやけに優しいんや。
ちゃぶ台にはご馳走が並んどる。
なんのこっちゃと思って聞いてみると、幸之助さんから電話があったんだと。
「今日、清一はんをえろう怒ったんや。
きっとムシャクシャして帰らはると思うから、慰めてやってや。
わしは清一はんを頼りにしてるから、あんなに怒ったんや。
会社の雰囲気を引き締めないかん思うから怒ったんや。堪忍してや」
あんたを頼りにしてると幸之助はんが言うたと聞いて、
わしは怒りがいっぺんに消えてしもうた。
この人のためだったら、命も惜しうない思うた。
人を使う立場の人はこの心配りをせなかったら、人はついてこない。
それもポーズやなく、心底そうでないとあかん。
その意味じゃ、人の上に立つ者ほど、部下に鍛えられているんや。
参考本:私を変えたあの言葉 出版:日経BP社 著者:神渡良平