松下幸之助、火ばしを叩いて怒る!

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、三洋電機の副社長だった後藤清一さんのお話しです。

後藤さんは、20数年間、松下幸之助の下で働きました。

「松下幸之助さんの思いやりが身に染みたことがありましたか」

後藤さんは、往時を思いだすかのように目を細めました。

あれは戦前のことやったなあ・・・。

ある時、幸之助はんがわしを烈火のごとく怒ったことがあった。

そばにあったダルマストーブを火箸でガンガン叩いて怒るんや。

あまりの激しさにとうとう火箸が曲がってしもうた。

叱られてクシュンとなって退出しようとすると、
「待ちなはれ。火箸をまっすぐ直してから出て行きなはれ!」
と、こう言わはるんや。

火箸を叩きのばしながら、わしは思うた。

『くそっ!こんな会社、辞めたる』

ムシャクシャして家に帰った。

家に帰ったら予想外のことが>>>

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シャクシャして家に帰ると、女房が、
「お帰りやす。お疲れさんやす」
とやけに優しいんや。
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ちゃぶ台にはご馳走が並んどる。

なんのこっちゃと思って聞いてみると、幸之助さんから電話があったんだと。

「今日、清一はんをえろう怒ったんや。
 きっとムシャクシャして帰らはると思うから、慰めてやってや。
 わしは清一はんを頼りにしてるから、あんなに怒ったんや
 会社の雰囲気を引き締めないかん思うから怒ったんや。堪忍してや」

あんたを頼りにしてると幸之助はんが言うたと聞いて、
わしは怒りがいっぺんに消えてしもうた。

この人のためだったら、命も惜しうない思うた

人を使う立場の人はこの心配りをせなかったら、人はついてこない。

それもポーズやなく、心底そうでないとあかん。

その意味じゃ、人の上に立つ者ほど、部下に鍛えられているんや。

参考本:私を変えたあの言葉 出版:日経BP社 著者:神渡良平

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