「ギャンブル依存症」について、考えさせられる文章に出会いました。
社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」の代表Tさんの記事です。
おっちゃんが知る限りでも、そもそもギャンブルで病んだ症状には、
共通点があります。
目が虚ろになったその人の頭の中には、
「ギャンブル」と「借金」と「ウソ」が3点セットになっているようです。
多くのギャンブルでは、負けます。負けたらお金が必要です。
お金には限界があります。限界を超えようとしたら、借金です。
借金が膨らんだら、ありとあらゆる次の借金可能性を考えます。
その可能性を実現させるためには、ウソを捻出せざるを得ないのです。
それほどまでして、離れられないそのギャンブル。
もはや、中毒というか、はっきり「心の病気」に違いありません。
冒頭で紹介したTさんは自己紹介するとき、こう切り出すそうです。
「祖父、父、夫がギャンブラーで、三代目ギャンブラーの妻となります」
そんな環境で育ってきたから、Tさんは、経済的に塗炭の苦しみを経験しています。
ご主人は、優しくて穏やかで、高学歴でもあり、
Tさんは、ご主人のことを、理性がきちんと働く人だと思っていました。
ところが、くしくもギャンブルについては、そうではなかったのです。
2~3年に一度は、三百万円前後の借金が発覚し、
せっかく尻ぬぐいしても、また借金が繰り返されます。
ちなみに、この三百万円という金額については、周囲の人間を見てきて、
おっちゃんもよく了解できます。
大きい企業に勤めてる人が、サラ金や信販会社などを渡り歩く時、
だいたい、もうこの三百万円あたりが天井になるのです。
それ以上は、どこも貸してくれなくなります。
だから、家族に借金がバレるのも、ほとんど三百万円前後のところです。
さて、Tさんは、そんな生活を10年ほど続け、借金の肩代わりが
1,500万円にもなりました。
そして、お手上げになり、ようやく心療内科という専門医療に辿り着きました。
そこで初めてご主人に「ギャンブル依存症」という診断が下されました。
治療の一環として、ひとつは、ご主人の自助グループへの参加、
そして、もうひとつは、妻であるTさんにも
「家族のための自助グループ」への参加を勧められました。
ここで得た体験が、Tさんの目からうろこを落とし、
Tさんを変え、ご主人を変えることになったのです>>>
↓Facebookの続きは、こちらからどうぞ↓
Tさんは、そのグループの扉をたたくまでは、
「貧乏で惨めな人たちが集まっているんだろうなぁ」と覚悟していました。
ところが実際には、それを裏切る明るい世界が待っていたのです。
「ようこそ!」と、グループの皆さんからTさんは迎えられました。
若くて明るい奥様や、優しそうな年配の奥様など、多様な集まりでしたが、
皆さん、自分の生き方について話をしているのです。
夫のギャンブル問題で泣いているのは、Tさんだけでした。
問題があるのは夫の方なのに、なぜ皆さんは自分の生き方について語っているのか、
Tさんは、その意味がわかりませんでした。
数日後、Tさんはあるキーワードを知り、理解に近づいてきました。
そのキーワードとは「共依存」という言葉です。
共依存とは、簡単に言えばこういうことです。
ご主人は、困り果てた先の最後の砦として、Tさんに依存しています。
一方、Tさんも、やはりご主人に心の奥底で依存しているのです。
夫から依存されることが、あたかも自分の使命であるかのような錯覚。
テレビ番組によく出てくる場面で、だらしない夫に対して、
よく出来た妻が「この人は私がいないとダメなのよ」というあの心理です。
この心理も、依存されて、ある種の生きがいを感じる意味で、
相手に依存していることになる。
それが「共依存」という概念です。
Tさんは、まさに自分のこととして、「共依存」を受け止めました。
「夫にギャンブルを止めさせなきゃ」
と、夫の問題を自分の手に握りしめている時は、同じ苦しみを繰り返していました。
けれども、夫を「管理」したくなる自分を手放したとき、
Tさんの精神は、楽になったのです。
「夫のギャンブルの問題は、夫自身にしか解決できないんだ」
そう開き直ることで、結果としてTさんもご主人も精神的な自立を確保し、
ギャンブルの問題がやがて解決したそうです。
地獄から脱出できたTさんは、思いました。
「自分に出来るのは、同じ問題で悩んでいる人を助けること」
生まれながらに、ギャンブル依存症に縁が深いTさん。
現職はTさんにとって、天職に違いありません。
苦しい苦しい体験が、Tさんを天職へと導いてくれたのでしょう。