わたしがカメラの会社のサラリーマンだった時、
たけしさんは、そのカメラのCMに出てました。
そのときのたけしさんのシャープな感性については、
別の記事で述べました。
わたしは、その後、ちょっとした用件で
たけしさんと話をする機会がありました。
まだそれほどバリバリの売れっ子じゃなかったお笑いの人が
「ビートたけし」という名前だということもそのとき覚えました。
たけしさんも僕の顔を見たら、かろうじて知ってるような感じでした。
その頃、「日本カメラショー」という催しが、
毎年日本橋高島屋で行なわれていました。
わたしは、Cカメラのブースにはいって、
新製品のカメラの説明係をしていました。
すごい人だかりの中、遠くの柱の陰で、
どこかで見たような顔がじっとC社のブースを眺めていました。
ブースはひとつ高いところに設置してあるから、案外、遠くまで見通せるのです。
やがて思い出しました。
「あ、たけしさんじゃないか?!」
いったい、彼は何をしに、わざわざ百貨店の
カメラショーなどのぞきにきたんでしょうか?>>>
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たけしさんを見届けて、目の前のお客様方への
カメラの説明にひと段落つけたわたしは、
遠くで見てるたけしさんのところに近づきました。
目が合った瞬間、まるで柱の陰にかくれて
悪さをしてるかのようなたけしさんでした。
そして、わたしが声をかけると、
いたずらのバレた子どものような表情になりました。
わたしは、
「たけしさん、こんな隅っこにいないで、
よろしかったら控えでお飲み物でもいかがですか?」と誘いました。
そしたら、たけしさん黒いハーフコートの襟を立て、
「いえ、ちょっとね、きょうは見に来ただけですから」
そう言って、そそくさと人ごみの中に背中を丸めながら消えていきました。
かえって追い立てたみたいで悪いことしたな、と思いました。
ここから先は、その時点でわたしが感じた感想です。
(好意的な主観が入ってると思いますが♪)
わたしは、この時、あ、この人すごいマジメな人なんだと思ったのです。
それまでCMに起用したタレントさんで、
わざわざ百貨店のカメラショーまで出かけてくる人など、わたしが知る限り誰もいませんでした。
たけしさんの様子は、自分がCMで関わった新製品のカメラの反応がどうなんだろう、
そんなふうに周囲を窺がっているようにわたしには見えたのです。
それからテレビの中のビートたけしと、
その時の人見知りっぽいたけしさんとのギャップが可笑しくて、なんとなくビートたけしを好きになったのでした。