※3年前に新型コロナウイルス感染により命を落とされた
岡本行夫さんのご冥福をお祈り申し上げます。
平成11年11月22日。
航空自衛隊入間基地所属のT-33ジェット練習機が、
入間川河川敷に墜落しました。
この事故機に乗っていたパイロットは、
二名ともベイルアウト(緊急脱出)を試みました。
しかし、いずれもパラシュートが開く高度を
遙かに下回る機位からの脱出であったため、
事故死を招いてしまいました。
一人は全くパラシュートが開かないまま、
もう一人は開きかけたところで地面に激突し、死亡したのです。
二人の飛行時間はいずれも数千時間を超え、年齢は47歳と48歳。
二佐と三佐ですから、いかなる事態にも対応可能な
ベテランパイロットであったはずです。
なぜ彼らはもっと早くベイルアウト(緊急脱出)をしなかったのか。
この事故の際、東京電力の高圧送電線を切断し、
東京・埼玉の約80万世帯で停電となりました。
電線切断による停電は都市のもろさの再認識となり、
マスコミの論調は「税金の無駄使い」的な、
冷淡なものが大勢でした。
ところが、当日のニュースステーションでの、
国際コンサルタントの岡本行夫(おかもとゆきお)さんのコメントによって、
この事故のもっと踏み込んだ意義が見直されました。
岡本さんは、事故の謝罪をする防衛庁長官の姿勢について、
コメントを求められたのです。
岡本さんのコメントはこうでした>>>
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「私の事務所でも停電のためにコンピュータが止まり、
大いに迷惑はしているが、今の報道を見ると、
脱出用パラシュートも開かぬままとなっており、
脱出のチャンスを失ってまで、
住宅地への墜落を回避した可能性が高い。
であれば、パイロットの行為は人間の尊厳に満ちたものであり、
にも関わらず、まず、この行為に対して、
長官が哀悼の意を表しなかったとすれば、
ご遺族の方々は、何と思うだろうか、誠に遺憾である」
岡本さんはそう語りました。
また別のインタビュー記事では、こんな談話があります。
もし住宅密集地の上空でエマージェンシー(緊急事態)に遭遇したら、
どうするのかとの質問に対する自衛隊のベテランパイロットの答えです。
『被害を最小限にとどめるため、最後まで操縦を続ける覚悟はあります』
と言い切った上で、『ただ、最後の瞬間に、わずかでも時間があれば、
脱出装置は作動させます。
そうしないと、脱出装置を整備した整備員に、
要らぬ心配をかけますから』
とのことでした。
この事故においては、13時42分14秒にベイルアウトが通報されています。
そして、その13秒後の13時42分27秒、
二度目のベイルアウトが通報されています。
最初にベイルアウトを通告してから、再度ベイルアウトを告げるまでの13秒。
なぜ彼らは最初の通告でベイルアウトすることをしなかったのか・・・。
この13秒は、正に上記の
『被害を最小限にとどめるため、最後まで操縦を続ける覚悟はあります』
に合致するのではないでしょうか。
そして、
『ただ、最後の瞬間に、わずかでも時間があれば、脱出装置は作動させます。
そうしないと、脱出装置を整備した整備員に、要らぬ心配をかけますから』
の思いとともに、ベイルアウトの行動をとったが、
既にその時点では最低安全高度を切っていた・・・。
そのような推測が今となってはほぼ正しい評価を得ているようです。
参考URL:http://kokorodo.net/e1072
:http://blog.goo.ne.jp/raffaell0/e/ba1f1122adc834bfba6e0825ac5c35d5