仕事がつまらないのは、何に原因があるのでしょうか?

b126
うかなり前のことになる。

仕事がつまらなくてつまらなくて、
心身共に疲れて、それでも仕事は追いかけてくる。

その日も12時頃の電車に乗った。

箱の中は、全体に酒臭い。

いつもの風景だ。

扉にもたれた50歳くらいの、やはり酒臭い男がいた。

一人でモゴモゴと愚痴を言っていた。

当然、周りの人は寄り付かなかった。

俺は少し気にしながらも、
おっさんと同じ側の扉に立った。

心の中で「こいつ絡んでこないだろうな」
なんて思いながら。

幾つか駅が過ぎて、今度はこちら側の扉が開く番。

「扉が開いたら、このおっさん、ぶっ倒れるかも。あぶねえな」
って、そう思った瞬間、手が出ていた。

手を出した俺に、おっさんが何か言った>>>

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いちゃん、優しいな。ありがとう。俺のこと心配してくれて。
 あんたみたいな人もいるんだよな」

そう言って、おっさんは微笑んだ。

その目は迷子が、親を見つけた時の子供のようだった。

『おっちゃん、なんか嫌なことがあったのか?
 誰かに意地悪されたのか?がんばれおっちゃん!』

口に出しては言えなかったけど、心の中でそうつぶやいた。

自分の心の中のつぶやきに、実は自分で「ハッ」と気づかされた。

なんだ。それは俺が、やはり誰かに言って欲しかった言葉じゃないか!

見た目は、皆いろいろ違いがあるけど、
案外、中身はみんな同じようなところがある。

おっさんも俺も同じなんだ。

それから以降、出来るだけ『いい言葉』を
胸に閉じ込めないようにした。

そうしたら、ほんの少しずつだけど、冒頭述べたような、
「つまらなくて、つまらなくて」というわだかまりが、
溶けかかってきた感がある。

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