ステージⅢ後期の大腸癌っていう診断だった。
リンパも腫れていて転移も十分考えられる。
結構ヤバイ状況だと。
嫁に言った。
「すまんっ!もしかしたら手術間に合わんかも知れない」
しかし俺の嫁は凄い奴だと思った。
「今まで忙しかったから、
○○(娘)と、あんたはあまり遊んでないやろ?
こうなったら手術まで、私も仕事を全部休むわ。
思い出作りじゃー!(笑)」って。
それこそいろんな所へ行った。遊んだ。
俺の体調が悪い時には「休んでたらいいよ」って、
ずっとハンドルを握ってくれた。
ディズニーランドへも行った。
慣れないカメラを握り締めて、汗だくになって、
必死に俺と娘のドナルドのスリーショットを撮ってくれた。
2週間丸々、嫁ともうすぐ2歳になる娘と共に
家族で目一杯過ごした。
本当に楽しい毎日だった。
数日後、手術のために入院生活に入った。
そして昨日、2週間あまりの入院を終えて退院した。
大腸や周辺リンパをけっこうゴッソリ取ったにしては
医者もびっくりの回復状況で、当面は大丈夫そう。
身体も心も安堵したら、
何よりも大切な家族への思いがこみあげてきた。
ほんとは誰より辛かっただろうに、
おくびにも暗さを見せず、
明るく明るく振舞ってくれた嫁。
とりわけ嫁には、ちゃんとした言葉で
感謝を伝えたいと思った。
そうだ、結婚以来、ろくに”愛してる”
の言葉すら発してなかった。
そのことに気づき、「愛してるよ」のセリフを
何度か練習した後、胸に飲み込んで
嫁が来るのを待った。
病院に迎えに来てくれた嫁に、今しかないと、
準備してたセリフをきり出そうとした矢先のことだ。
嫁がボソッとひと言・・・>>>
↓Facebookの続きは、こちらからどうぞ↓
嫁が言った。
「私もちょっと病院行きたいねん」
出鼻を挫かれた俺は、そのままヨタヨタ歩いて嫁の運転する車に乗り込んだ。
車が着いた先は産婦人科の駐車場。
「死んでるヒマ、無いで!」って、
助手席の俺を横目で見ながら悪戯っぽく笑った。
あっけに取られて、結局言いそびれてしまいましたわ。
「愛してるよ」のセリフを。
今晩、もう一回チャレンジしてみます。