ガングロ、ヤマンバだったわたしの親友
~恥ずかしいのはどっちの方よ?~
女子高生の頃のわたしには、変な親友がひとりいました。
最初から親友だったわけじゃなく、
あるきっかけでわたしはこの子が大好きになったのです。
わたしは普通の女子高生だったのですが、
彼女K子は当時「先端」だったガングロ、
ヤマンバギャルだったのです。
K子たちのグループには出来るだけ近寄らないようにしていました。
なぜってガラが悪いし、汚いし、成績もよくないし、
最も友だちにしたくないタイプの女の子だったのです。
ある日のことでした。
下校時の停留所でバスを待っていたときのこと、
目の前を白い杖を持った年配のご婦人が右往左往していました。
「あのー、どうなさったんですか?」
わたしはぎこちない調子で声をかけました。
すると、そのご婦人は、障害福祉センターに行きたいのだが、
教わった通りに来たのに、どうも違う場所に来たような気がするとのこと。
なんだ、そんなことかと思ったわたしは、
「そこでしたら近くなので、わたしがご案内します」
そう言って、わたしはそのご婦人の腕をギュッと掴んで歩こうとしました。
その途端、ご婦人はビクッとして、何だかとても不安そうな感じでした。
それでも、よろめきながらどうにか歩き始めたとき、
そこにK子が通りかかったのです。
「あれ? あんた、何やってんのさ」
K子の怒ったような表情にひるみながらもいきさつを話し、
わたしはこのご婦人を障害福祉センターまで案内したいと告げました。
そうするとK子は、わたしの自信のなさそうな態度とは裏腹に、
「さぁどうぞ、私におつかまりください」
と、そのご婦人の案内役をかって出たのです。
ご婦人も、わたしが手を貸したときとは打って変わり、
すっかり安心した様子で、K子に身を託しています。
なんのことはなく、K子はご婦人をスイスイ案内してしまいました。
「どうして?」
わたしは疑問を抱かずにはいられませんでした。
そんなわたしにK子は語ってくれました>>>
↓Facebookの続きは、こちらからどうぞ↓
「私には、目の不自由なおばあちゃんがいたんだよ。
おばあちゃん、親切な人がよく手を貸してくれたんだけど、
おばあちゃんの側からすると、近づいて来たことにも気づかず、
そんなときは、出された手にドキッとしてしまうんだよ」
「・・・・・・」
「何も見えないときに、いきなり手を出されてみな。
それが親切な手だったとしてもさぁ、突然な感じは、
目の見えない人にとっては、いきなりつかまれたり触られたりってのと
同じ気持になるんだよ。ドキッとしてしまう。
それと同時に、どこへ連れて行かれるんだろうと不安になるんだよ」
「・・・・・・」
「だからね、私は目の不自由な人には、自分の体に触らせてあげて、
相手が安心する場所につかまってもらう方がいいと思うんだよね」
K子はそう話してくれました。
わたしは「なによ、最初に声をかけたのはわたしなのに」
と、さきほどまで少し腹を立てたり、
ガングロのK子を軽蔑したり、
一緒に歩くのが恥ずかしかったり、
そんなふうに思ってた自分の方がよっぽど恥ずかしくなりました。
同時にK子からとても重要なことを教えられた気がしました。
この日以来、わたしはみかけだけで、人を判断するのをよしにしました。
また目の不自由な方を見かけたら、今、わたしは胸を張って言えます。
そっと相手に寄り添いつつ、
「さぁどうぞ、私におつかまりください」と・・・。