江戸幕府の14代将軍・徳川家茂は、生まれつき病弱な身でありながら、
13歳で将軍に就任しました。
よい将軍であろうと文武両道に努め、勝海舟ら幕臣からも、
厚い信頼を得ていたそうです。
(勝海舟による家茂毒殺説などもありますが、ここでは亜説を無視します)
とにかく家茂という人はとても優しい人柄だったようです。
それを示すこんなエピソードです。
戸川播磨守安清という書の名人として知られる幕臣が、
家茂に書道を教えていました。
家茂はとてもよい生徒で、いつもきちんと練習していました。
しかし、ある日のことです。
突然、家茂は、安清の白髪頭に硯の水をかけ、
手を叩いて笑いだしたのです。
よくテレビでみかける「殿、ご乱心!」みたいな場面です。
同席していた側近は、将軍らしくないことをしたもんだと嘆きました。
そして安清も泣きだしてしまいました。
安清が泣いている様子を見て、側近たちは
家茂の振舞いを情けなく思って泣いているのだと思いました。
ところが、真相は別にあったのです。
安清は側近に打ち明けます>>>
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安清は、自分のために将軍が悪しざまに噂されるのを避けるため、
恥をしのんで側近に打ち明けました。
「実は自分は年をとってしまったために、
ふとしたはずみで失禁をしてしまったのだ。
将軍様の前で失禁など、厳罰は逃れられぬ失態。
しかし、将軍様は私に水をかけて失禁を隠してくださった。
・・・そんな配慮をしてくださる優しさが嬉しくて泣いているのだ」
本当に心優しい人の振る舞いは、
スタンドプレーではなく、目立たぬように、傷つけぬように
その人を思いやります。